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ドリルチャック交換 ~ユキワ~

少し前に入手した卓上ボール盤ですが,精密に計測するとドリルの刃のブレが若干大きい気がします.古いからか,元々のドリルチャックの精度なのかは不明ですが,情報を集めてみると,ドリルチャックを交換すると良いことがありそうです.

東芝のボール盤

ドリルチャックと言えば,知る人ぞ知るユキワという会社が絶大な信頼を勝ち取っている様なので,ここのドリルチャックに交換することを考えます.まずは,適切なドリルチャックを探します.

東芝の13mmの小型ボール盤に限らず,この手のボール盤のドリルチャックは,ジャコブズテーパー等のテーパー状の主軸にチャックが押し込んてあります.テーパーに押し込むというのは,旋盤等の工作機械でもよく見られる方式ですね.このボール盤の規格は,ジャコブズテーパーNo.6,通称JT6という軸に押し込めるものになります.13mm用のチャックをユキワのサイトで探すと,「13MG-JT6」が良さそうです.小型のタイプでも良いのですが,精度はこちらの方が良いそうなので,こちらを選択します.

ユキワのドリルチャック

新しいドリルチャックは,すぐ届いたのですが,交換するためには古いチャックを外さないといけません.テーパーに圧入されているだけなので,どこかのネジを回すというわけにはいきません.youtubeなどを見ると,木片をあてがって金づちで叩くというのがあり,試してみましたが,木片が粉々になるだけで一向に埒があきません.もしかするとどこかが錆びついているのかも,とかイロイロ気になります.
ネットで検索すると,テーパー状の金具が売られていて,それを隙間に叩き込んで外すというのがありますが,その金具がドリルよりも高額で販売されていて今一つ手が出ません.
そこで,写真の様なテーパー状の木片を作成して隙間に叩き込んでみますが,木片が横へずれて外れてしまうため,うまくいきません.市販の金具の様にU字型になっているのは,横にずれないという役目も果たしている様です.

テーパー木片

テーパー状の軸に圧入されているものでよくあるのはギアやプーリーで,それらをとりはずすための道具としてギヤプーラー(プラー)というものがあります.固着したドリルチャックを外すのにも使えそうなので,手配してみました.

ギヤプーラー

プラーの真ん中の棒が13mm以下だと,チャックの中心に入れることが出来て都合が良さそうなのですが,チャック自体のボリュームも大きいので,一回り大きなプラー,しかも安定して力を加えられる三本爪のものを選びました.真ん中のボルトが13mmチャックにぎりぎり入らない太さであったため,別途8mmのボルトを入手し,チャックの中心に突っ込んで,その上からプラーのボルトで押さえます.
プラーのボルトを回すためには17mmのスパナを用い,ドリルチャックにセット後に2,3回スパナを捻ったところ,あっさりとチャックが外れ,落下しました.鋼鉄同士の圧入なので,少し外れればあっという間なのですね.

外れたドリルチャックの内側はきれいで,特に錆びて固着していたわけでは無いようです.

外れたドリルチャック

むきだしになった主軸のテーパー部分をウェスできれいにしてから,新しいユキワのチャックを取り付けます.

むき出しになった主軸のテーパー部分
ユキワの新品チャック

木の板の上に新品のドリルチャックを置き,ゆっくりと主軸をおろし圧入します.

ユキワのチャックを装着した東芝のボール盤

なかなかきれいに仕上がりました.
落ち着いたところで,もう一度ブレを計測したいと思います.

防錆剤

先日入手した本格的な小型卓上ボール盤が錆び易いので,効果的な防錆剤を探してみました.

防錆剤
防錆剤成分不明?

うたい文句はかなり強力です.
早速かけてみましたが,オイルがグリスというよりも塗料に近い感じでサラっと噴霧されます.
乾いたあとは少しベタベタしますが,オイル感というよりは,シールの裏の糊面みたいです.その後何日か経ちますが,大きく錆びてはいません.

ボール盤のテーブル

しばらく様子を見てみます.

小型卓上ボール盤?

小型卓上ボール盤

巷では「小型卓上ボール盤」と分類されていますが,20kgを軽く超え,家庭用工作機械としては大物(笑)です.

最近,エフェクターのケースや真空管アンプ等に大きな穴開けをすることが多いです.電子工作向けのHOZANの小型ボール盤では,3mm,頑張って6mmの穴開けが精一杯です.一方エフェクタでは,標準プラグのジャックやDPDT,3PDT等のフットスイッチのために直径が12mm超の穴開けを要求されます.今までは,6mmの穴を開けた後でリーマーでグリグリと拡げていましたが,足で踏みつけるエフェクターケースはアルミとはいえ2mm近い厚さのケースであり,穴開け,グリグリの作業だけで半日を費やすことが多く,時間とリーマーの刃を無駄にしている気がして,導入に至りました.
新品では,超ブランドな日立工機は20万円とかの価格なので手が出ません.台湾製や中国製のものは品質面で問題を起こす場合も多い様子なので,国産の中古をオークションで入手しました.東芝のボール盤でチャックは13mmまで可能,モーターは誘導モーターで350Wくらいのものが付いています.

オークションなので状態が気になりましたが,錆びが浮いていることを除くと特に問題は無さそうです(一度電源を入れて確認).流石に20kg超は重く,移動に難儀しましたが,まずは屋外で時間をかけてピカールで錆落とし,WD40も大活躍.チャックハンドルが付いていなかったので,サイズを測り,この業界ではブランドのユキワのチャックハンドルを発注.到着までの間はメンテです.

本物の鉄というとおかしな話ですが,日頃アルミやステンレス,真鍮に触れることの方が多いので,工作機械の硬くて錆易い鉄に触れたのは久々です.磨いてWD40を吹いておいても数日で赤錆が浮いてくるので,きちんとした防錆剤で後日手入れをすることにしました.

誘導モーターは突入電流が多いので,スイッチを入れた瞬間,家の照明が一瞬ちらつくのはご愛敬.長時間稼働しても安定して動いそうな安心感があります.
これで,穴開けに半日費やすこともなくなりそうですね.