Radius 21

Radius 21

数年前にebayで入手したRadius 21.
既に何回か桝形山無線倶楽部の活動に投入していますが,きちんと記事として触れていなかったので,まとめてみます.

【購入⇒受入れ検査?】

遥々と遠くポーランドから届いた時は,結構使い込まれた状態で,そのままでは全く動く感じではありませんでした.加熱する部分は鉛板をドーナツ状にくり抜いたパッキンが使われているのですが,それが一箇所不足.タンク内部は灯油の残りでなんとなく湿っている感じでした(よくあるパタン).何よりもひどかったのは,バーナー部分の詰まり.燃焼させると調子悪いとかそういうレベルではなく,口をつけて吹いても空気も通らない,鼻づまり状態です.まあ,なんとかなるだろうということで,キャブレタークリーナー液をたっぷり入れたジップロックに封入,一週間後に作業をすることにします.

 

【前準備】

その間に,便利な通販サイトを使って,不足していた鉛パッキンや他のパッキン類(念のため)を手配します.この頃のデザインのストーブはOptimusもPrimusもRadiusもマナスルもほとんど同じサイズのネジ,パッキンになっているので,メンテ用部品がアフターマーケットでたくさん流通しています.人によっては,車やバイクのエンジン用ガスケットをくり抜いて耐熱パッキンを作り出すそうです.まあ,エンジン類に比べたら,簡単な構造ですし,万一漏れても,ちょっと横から火が出るくらいですからね.

工具類も手配します.入り組んだところにガスの噴出ノズルがあり,それをひねって取り出すためのユニバーサルジョイント付きのスパナみたいなやつがあると便利です.あとは,灯油を圧送するためのポンプ機構がありますが,そのバルブ(NRV)をとりはずすためのくびの長いレンチ,ノズルの穴をお掃除するための針がついた道具などもこの手のストーブの専門店で手配しておきます.

同時に,灯油の手配も進めます.最近は灯油ストーブを使うことも無いので,家に備蓄がありません.大量に使うわけでは無いので,なるべく小さい灯油タンクを探します.ガソリン用の金属製の携行缶でも良いのですが,スタンドによっては,真っ赤な金属携行缶はガソリン用で灯油は不可とか石頭な(失礼!)対応をされるらしいので,如何にも灯油用という真っ赤なポリタンクを調達します.18リットルはでかいので,少し小さい10リットル用を入手し,車の後部座席に乗せてガソリンスタンドへ行くと,窓からその存在をみとめた店員さんが自動的に?後部座席ドアを開けてポリタンクを取り出し,灯油を入れ始めてくれました.素晴らしいです,これでこそ,専用のポリタンクを用意した甲斐があるというものです.

プリヒート用のアルコールも手配します.メチルアルコールは,燃料用アルコールとして東急ハンズでも薬局でも入手が容易です.むしろ,小分けして保管すつ容器に困ります.アルコールに相性の悪い樹脂があるので,注意が必要です.登山用品として有名なナルゲンのボトルを使うことにしました.

【お掃除・お手入れ】

キャブレタークリーナーもなかなか奥までは浸み込まないらしく,一週間経っても,ポロっとつまりが解消するというわけにはいきませんでした.バラバラにしてからくねった配管の中をなんとか掃除しようと挑戦が始まります.一番役に立ったのは,エレキギターの弦でした.交換した後の使用済み弦を使います.一番細い1弦から太い6弦までありますが,細い弦はノズルのお掃除につかえますし,太い弦は詰まった配管をほじるのに便利でした.配管がU字型に曲がっているので奥の詰まりを取り除くことができます.何時間かの奮闘の後,無事開通.

続いてNRVの交換です.専用レンチを手に入れましたが,ネットの情報では,固着していてねじ切る人が多いとのことで,慎重に作業を進めます.NRVは自転車のタイヤチューブの空気を入れるところと似た構造ですが,虫ゴムではなく,バネで栓を押し付けていて,空気の圧力で栓が動いてタンク内に空気が入っていく仕組みになっています.バラしてみると,この栓がモロモロにくずれる状態になっていました.栓だけを交換しても良いのですが,NRVユニットで入手していたので,ユニットまるごと交換しました.

続いて修理したのは,ポンプの摺動パッキンの部分です.革のパッキンの部分は大丈夫なのですが,ネジを適当に修理したみたいで,ぐらぐらしていますし,ナットも割れている感じです.他のナットで代用しようとしたところ,ネジのピッチが合いません.というか,規格外のピッチの様です.今後のことを考えて,ダイスでネジを切りなおし,ステンレスのISOネジ用ナットで固定しました(ビンテージのレストアというよりは,実用性重視です).なお,パッキンの潤滑油として,WD40とかCRC556とかを吹いておくと良いです.灯油で洗われて潤滑が失われることが多いので,小まめに点検すると良いです.

【試運転】

若干多過ぎかと思いましたが,タンクの7割くらいまで灯油を注入(コールマンのフィルタを使って注入口から入らなくなるくらい).プレヒート用の皿にアルコールを一杯まで注ぎ点火.この時,ポンプ頂部の空気抜きバルブは開けておきます(閉めてしまうと,プレヒートで温まった燃料がノズルから出てきてしまいます(大きな問題では無いですが,炎上して煤が出る原因になります).アルコールの火が消えかかったところで,空気抜きバルブを閉じて,ゆっくりとポンプすると,ノズルからガス状になった灯油が出てきますので,ライターで点火すればOKです(慣れると,アルコールの火が消えるギリギリのタイミングでこの操作を手早くやって,アルコールの火で点火も可能です.大した話ではないので,慣れたらトライしてみてください).

シングルのノズルから噴き出した炎をプレートに吹き付けるこのスタイルのバーナーは,各社ストーブの基本形として広まっていますが,結構な轟音です.溶接用のガスバーナーと似た感じですね.

まだ,掃除が行き届いていないのか,あるいはポンプの潤滑油が混じっているのかわかりませんが,少し赤い炎が混じります.温まってくると次第に青火が勝ってくる感じです.途中に残っていた過去の煤の塊が少しずつ剥がれてノズルの方へ集まってくるので,時々ノズルをお掃除すると,4方にきれいに広がった炎が得られやすいですね.

【実戦投入】

まずは,庭で実戦投入.灯油バーナーが得意な炊飯です.一度沸騰させたらあとはごく弱火で20分,以上.おこげは出来ますが,使えることは確認できました.

その後,何回か桝形山無線倶楽部の活動に投入してきましたが,それについては他の記事をご参照ください(あまり書いていませんが).