バイポーラトランジスタのhFEを計測するためには,A/D,D/Aの他に,記録用のメディアが必要になります.
一番簡単なのはSDカードです.SDカードのインタフェースは,SPIと同じ構造なので,物理的なコネクタさえ用意出来れば,あとは,SPIと同じ様に接続するだけで大丈夫です.この際に,Arduinoを5Vで使っている場合は,SDカードは3.3V系なので変換が必要になりますが,秋月で売っているマイクロSDカードインタフェースは,レベル変換のチップも実装済なので,難しいことを考えずに用いることができます.
A/D, D/A, LCD, SDカードを実装
また,バイポーラトランジスタの様々な部分の電圧を計測するにはGNDが共通では都合が悪いのですが,以下のA/Dコンバータは,電圧計測入力が差動に出来るため,少しだけこの問題が緩和されます(絶対電圧の範囲は,Vdd-Vssに限られますが).コレクタ電圧をArduino電圧よりも高くする場合は使えませんが,ベース電流をベース抵抗の両端電圧から直接計測するには好都合です.
16bit A/D
Arduinoは,簡単な実験装置を作るのに適しています.
ディスクリートのトランジスタのhFEを測定するのに簡単な冶具を作ってテスタで電流を計測してノートにプロットすることがありますが,それが自動化できたら便利です.新しいトランジスタよりもむしろ,旧いトランジスタで,無線機のファイナルに使うようなパワーアンプ系では,hFEがそれほど大きくなく,また,ある程度ベース電流を流した状態での計測を必要とされる等条件が面倒なので,そこまで含めた自動化が望ましいです.ベース電流は10mAくらいまで流したい,コレクタ電圧もできれば15Vくらいまで試したい.
その前実験として,arduino + A/Dコンバータ + D/Aコンバータ + LCDという構成で動かすことにトライしました.arduinoもどきとして,aitendoの「あちゃんでいいの」を用います.「あちゃんでいいの」にはいくつかのロットがあり,初期のものは,ブレッドボードに差さらない(ピンのピッチが100milの整数倍になっていない)という不具合があります.うちにも一枚だけそのロットのものがありました.
A/DコンバータやD/Aコンバータは秋月で入手した16bit,12bitのものを用います.arduinoは端子数が少ないので,I2CやSPIを活用します.キャラクタLCDとD/AコンバータはI2Cなので,芋づる式に接続します.LCDはジャンパカットしないとI2Cのプルアップ抵抗がついているとのことで,それを活用.A/DコンバータはなぜかSPIです.SPIは,I2Cの様にアドレッシングして通信する様な機能を持っていないので,デバイス毎に個別にCS (Chip Select)端子を用意する必要があり,端子が少ない時には今一つなのですが,仕様なので仕方ありません.液晶へのキャラクタ表示,D/Aからの出力をA/Dへ突っ込んで読み込む等の一通りの動作を試したのが,以下の写真になります.
Arduino + LCD + A/D + D/A
細かくはまりましたが,出来てしまえば簡単.
むしろ,USB<->RS232C変換基板とarduinoの接続でRX/TXをクロスにしないといけないとか,30年前にトリップしたみたいなミスの方が時間がかかりました(笑)
年末が近付き,部長JL1NIE局の声掛けで,若干の雨模様の中,本拠地桝形山にて不定期技術部活動が行われました.今回の活動は,
Radix社RD-S106のJG1GPY局への引き渡し(元々JL1NIE局が保有し,数年前に7M4EZB局へ譲られたモノ)とテスト
上記アンテナを用いたJG1GPY局による和文モールス通信
JL1NIE局によるマルチバンドEFHWアンテナの調整
という内容でした.
Radixアンテナは,コンパクト(しっかりした作りのためあまり軽量ではないですが)でGPY局のSOTA/ポタリングのお供として活躍する予定です.
NIE局の新しいアンテナアナライザーを使い,RD-S106の7MHz用エレメントの調整もササっと終わり,GPY局の和文電信も滞りなく成功.
続いて,NIE局謹製のトラップを用いたマルチバンド対応EFHWの調整を開始.新型のアンテナアナライザーはとても多機能で,マルチバンドアンテナのSWRが複数周波数でDIPというか低い値になっていることが一目でわかります.
EFHWは周囲の影響を受けやすいため調整に難航,周囲が暗くなる頃になんとなく収束?(その後,NIE局よりこの時の調整の問題点の報告がありました).
雨模様の中,アンテナ調整の奥深さを実感し,技術部活動らしい充実した活動でした.
負荷に対する特性を色々測定してみました.トランスが1[A],レギュレータ317/337が1.5Aの仕様なので,トランスがネックになりそうです.トランス能力の半分から7割りくらいと思った方が良いです.細かい数値をいろいろ測定しましたが,ざっくり言うと,±15[V],0.7[A]というスペックであれば,最大負荷時に出力が1%ダウン,リップルは正負のどちらも6-8[mV]程度で思ったより優秀でした.
測定していてデジタルオシロの秘密?に気が付きました.使いこなされている人はご存知かと思いますが,プローブをx10にすると,微小電圧の誤差が大きくなります.x10にしたことで,プローブからの信号は1/10に弱くなります.デジタルオシロ側は表示を10倍にするために内部で計測値を10倍にしているのですが,これがアンプのゲインを10倍にするのではなく,ADCの値に10を掛けているのでしょう.そのため,微小な電圧に関して不自然に大きな,というか粗い数値になるみたいです.デジタルオシロでは1GHzとかの高速サンプリングが必要なので,量子化誤差の小さい多ビットのADCを使うのは難しいと思うので,仕方ないのかもしれません.
学生の頃,実験でx10にした方が回路に与える影響が少なくて良い,となんとなく言われ続けたので,x10を使いたくなってしまうのですが,注意が必要です(それでなくても内部ノイズが多いデジタルオシロですし).
話を電源に戻しますが,こんなに優秀ならば,無線機の電源にも使いたくなります.でもFT-450は50[W]出力だと15[A]くらい欲しいんだよなぁ.
アナログ回路の実験をしていると,電圧が可変な正負の定電圧電源が欲しくなります.アナログの実験となると,小容量で良いので,むしろノイズの心配をしないで済むシリーズ電源が無難です.残念ながらその手の電源は,市販では高級なものになってしまい,中古で手に入れるか自作するかという選択になります.可変電圧の三端子レギュレータとして有名なLM317T/337Tを使って作ることにしました.レギュレータは,STMicroのものを秋月で売っていたのでそれを利用.せっかくの電源なので,スイッチやヒューズ,ACノイズフィルタ付インレットなど,オーソドックスな部品については,標準的なものを使ったせいで,思ったより出費が.ケースは自宅に20年近く眠っていたものを流用.回路はラグ板で組もうと思ったのですが,ちょっと面倒なので,秋月のLM338Tのキットを流用しました.チップは使わず,ヒートシンクを含む他の部品を使った感じです.但し,負電源のレギュレータはピン配置が異なるので,注意が必要です.電圧調整用には,多回転ポテンショメーターを使いました.一番悩むのはトランスです.昨今はスイッチングレギュレータばかりなので,シリーズ電源向けのパワートランスがあまりありません.秋葉原のアーケードにある東栄変成器で16V1A x 2 (CTになる)を見つけ,入手しました.残念ながら,もう在庫がなくなりそうな雰囲気でした.正負それぞれに電圧計を付けましたが,電流計は省略です(内部抵抗の影響が嫌なので).久々に大がかりな金属ケース加工でハンドニブラを駆使し,なんとか完成,デジタルマルチメータで計測したところ,安定も良さそうです.今度,セメント抵抗を入手して,高負荷状況下の精度,安定度と発熱を計測する予定です.
秋月の旧いキットをベースにSGを作ろうとしたのですが,土壇場になって±電源が必要なことに気付き断念.引出しを漁ったところ,昔無線機の調整用に作ったFCZの発振器のキットを発見.丁度800[Hz]前後で発振する設計になっています.ブレッドボードで組み上げたNJM567Dの回路に投入すると,全く反応がありません.どうやら信号が弱すぎた様です.そこで,同じく無線機調整用に作ってあったLM386ベースの増幅器を用いてパワーアップさせて,再度実験.今度は面白い様に動きます.386の出力を絞っていくと,途中からデジタル出力波形がスイッチングを始めます.カタログスペックでは,Vrmsが25[mV]くらいあれば最悪,動くみたいですが,実測では,Vppが90~100[mV]くらい欲しい感じです.なぜVppかというと,波形が歪んでいたからなのですが,正弦波と思えば,Vppが100[mV]とすると,Vrmsが35[mV]くらいになります.少し尖がった波形になっていたので,Vppが高めなのでしょう.無線機のPhone出力がどれくらいかわかりませんが,強い局の受信ならば数百[mV]くらいはありそうなので,最初はアンプなしでも大丈夫かと(入力保護の方が必要か).むしろ気になったのは800[Hz]の設定です.愛用のPFR-3Aでは,600[Hz]を想定しているみたい(audio filterが?)なので,変更できる様にしておかないといけません.
aitendoで液晶表示のシールドを入手し,NJM567Dもゲット.いよいよブレッドボードで試作に入ります.モーター制御で遊んでいた回路は,一旦バラし,電源,NJM57D周りの配線を済ませました.arduino接続前に一旦実験したいのですが,こういう時に簡単なSGがあると便利ですね.大きいと邪魔だから,デジタル式のを作るか?
いろいろやりたいことがあります.以前から騒いでいるマイクロマウスもありますが,買ってきた半導体の特性を測る測定器も作ってみたいです.例えばカーブトレーサとか.あとは,周波数シンセサイザというか発振器というか,も無線機の調整用にあると便利です.変調がいろいろかけられると尚更便利です.他に,CWの自動復号とか,アンテナチューナーも作ってみたい.いずれも市販品もありますが,やはり自分で作ってみたいものです.
ステッピングモーターと組合わせて,NCな工作機械も面白そうです.硬いものは難しいですが,樹脂や木材相手のものならば,楽しいかも知れません.
ある日秋月のサイトを見たら,LCRメーター(DE-5000)が安く売っていました.容量が測れるデジタルマルチメーターは持っていましたし,VCHアンテナの製作でローディングコイルを手巻きしたこともあり,Lの測定をしたいと思っていたところでした.Strawberry Linuxのキットも評判が良いみたいだったので,いつか作ろうと思っていましたが,同じ様な値段でこんなまともな計測器を売っているとは驚きです.先日,秋葉原に行った際に,店頭に山積み?になっていて,思わず,オプションも含めて購入してしまいました.同じように手に取る人(主に年配の方々)も多く,とぶように売れていました.皆さん,無線家だと嬉しいです.
作成中のNorcal 2N2/20のVFOコイルを早速測定したみました.回路図上では,#28が40Tで7.7uHとなっていますが,100kHzの実測では,6.979uH (Qは36くらい).一割ほどインダクタンスが足りません.あと4回くらい巻こうかどうか迷ったのですが,とりあえずそのまま続行することにしました.VFOの周波数が高かったら,あとで思い出すことにします.
7/2の晩に発注して,昨日の午前中に届きました.7日後に届くというのは凄いですね.早速開梱しました.箱が二重になっていて,元箱の外側に別のダンボールで覆い,テープで厳重に巻いてありました.箱自体は結構角が傷んだりしていましたが,これは,紙の質が悪いためみたいです.
肝心の中身は無事です.残念な点は,ACケーブルのプラグが中国仕様?だったことと,マニュアルやCDの印刷が中国語だったことです.ウェブサイトを見ると,ACケーブルが日本仕様のものもあるみたいなので,少し気になりますが,標準的なインレットなので,家にあったものを代用しました.若干抜けやすい気がしますが,HDDが入っているわけでもないですし.
マニュアル類はネットで探してみようと思います.ehamでのreviewを見ると,英語版マニュアルを要求するともらえるみたいなので,トライしてみます.
早速電源を入れて,セルフテストを実施,問題ないことを確認し,プローブのトリマ調整(お決まりのコースですね)をしました.若干ノイズが多い気もしますが,個人用としては十分な性能です.
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