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真空管 vs. トランジスタ

タイトルを見ると定番の議論に見えますが,もっと現実的な話で.今時,普通に電子回路を設計するならばトランジスタと思っていたのですが,微妙であることがわかりました.理由は入手性です.
ご存じの通り,半導体は単体のトランジスタから集積回路へと一気に進化したので,単体のトランジスタ,特に増幅用途のものは次々と廃版になっていることに気が付きました.
単体で残っているトランジスタはスイッチング用途で,アンプ向けに適した特性は考慮されていないものが多いみたいです.
オーディオ向けのアンプも通常はオペアンプなどの集積回路を使うことが普通な様で,無線の様な高周波の増幅器も,モジュール化されていることが多いです.しかも,モジュールは携帯などのUHF領域のものがメインかも知れません.
学校で習うようなCR結合の一石増幅器とか作ろうとしたら,廃品種になりかけの2SC1815とか2SK30とかを使いたいところですがねぇ.
話を元に戻すと,真空管に関しては,最近のオーディオブームやギターアンプ需要のためか,ロシア製,中国製を中心に復活しています.なので,低周波でも高周波でも電力増幅器を作ろうとした時に下手すると真空管の方が安かったりします.パワートランジスタがFETもすぐに2,3千円したりしますが,真空管が千円台で買えたりします.なんだか,複雑な気分ですね.

真空管ギターアンプ

無線や高級オーディオ以上に汎用的に真空管が使われているのが,実はギターアンプの世界だったりします.今でも新品がギターマガジン他の雑誌に広告で掲載されているくらいです.ということで,自分としても気になるわけで,とりあえず本を買ってみました.「真空管ギターアンプの工作・原理・設計」という本です.技術屋でありながらギタリストという著者の文章は,軽妙でありながら,エンジニアにも読み易い正確さを伴っており,楽しく読めます.高級オーディオの様に肩が凝らず,無線機の様に難しくなく真空管の世界へ入っていくには一番かも知れません.歪み万歳!

圧着

電気工作と言えばハンダ付けというのが定番ですが,世の中では圧着が多用されています.
“ハンダは信頼性が低い”というのが大きな理由かと思います.
これは経年劣化(旧いハンダはボロボロっと崩れることがある)を指していたり,ハンダ付け不良の可能性を指していたり,あるいは大電流が流れた時にハンダだと吹き飛んでしまって耐えられないケースも考慮していたり,色々なケースがあります.
一昔前は,コンピュータ等のデジタル機器の試作品は全てラッピングを用いて配線していました.これも圧着の一種で,高い信頼性を誇っていましたが,高速信号には不向きなため最近は用いられていません.

また,それ以外の理由としては,私の想像ですが,やはり電源の無い現場ではハンダ付けよりも圧着の方がやり易いというのも少なからずあると思います.コテライザーとかもありますが,ぶっとい線のハンダ付けには向いてないですし.

電気工事士の技能試験では,リングスリーブを用いた圧着というのが出て来ます.束ねる線の断面積が8平方ミリメートルを超えると中スリーブ,それ以下ならば小スリーブ,とかいろいろルールがありますが,実際にやってみるとなかなか楽しいです.かなり力を加えて,いかにも金属同士が融合しています,という雰囲気があり,信頼性は高そうです.自作の大容量電源やパワーアンプとかでも使ってみると良いかも知れません.

第二種電気工事士試験と工具

自宅内の簡単な電気工事は自分でやりたいという希望と,この手の工事の技術への興味から,電気工事士の資格を目指すことにしました.電験3種を持っていると,筆記試験が免除になりますので,ひたすら実技試験の練習をすることに.黒本とかAtoZとか巷で評判の良い教科書を揃え,工具や部材セットについてもネットの情報と自分の好みでバラバラと用意し,気分を盛り上げていきました.

電力系のごつい工具類は,あまり持ち合わせが無かったので,結局ほとんど用意するはめになっています.特に重要なのは,圧着工具とペンチとナイフでしょうか.圧着工具についてはJIS規格を通ったもの限定なので,選択肢は限られます.VAストリッパーも本番では活躍させますが,当面は腕を磨く意味も含めて電工ナイフで練習をしています(ストリッパーを用いた作業は,普段弱電系作業でも慣れているので).

ペンチは,ぶっとい線を切る,曲げる,という作業に使うので,手の負担を減らすことを重点に選びました(大き目の方が,軽い力でザクッと切れるものです).今まで弱電系ではHOZANの工具にお世話になることが多かったですが,ペンチは定評のあるフジ矢の”電工職人ペンチ”を選びました.太い線でも楽に切断できて,なかなか良いです.このペンチは途中でモデルが変わったらしく,ペンチの先が普通のギザギザになっているものと,斜めギザが交差した形になっているものがあります.普通のタイプの方がしっかりつかめるとも言えますが,輪作りには,斜めギザ交差タイプの方が使い易い気がします.まあ,お好みで.

テレキャスキット製作の続き(その1)

塗装で苦戦しています.季節がら,外で塗装していると虫がくっついたり,乾燥中に落っことして泥や傷がついたりして,何度もやり直している気が.きちんと乾かないうちに重ね塗りしているのも良くないのかも.もっと心にゆとりを持って臨まないといけませんね.

でも,早く音を出してみたくなるんですよねぇ.

エレキギターキット(二台目)

一台目のレスポール型キット,なかなか良い音で楽しんでいます.次はストラトか?とも考えたのですが,素朴なデザインでありながら結構尖がった特徴を持っていそうなテレキャスターに惹かれ,キットを入手しました.HOSCOさんはとても対応が親切でしたので,またここから買うことも考えたのですが,今回は別のキットを試したいと考え,オーストラリアのPit Bull GUITARSから購入しました.送料が$75もかかるのが痛いですが,キット自体の価格がそれほど高額ではないので,頼む価値があります.
一週間以内で届き,対応はとても迅速でした.
さっそく,開梱すると,初めて見るアッシュボディは新鮮でした.価格も価格なので,4ピース構造ですが,割と荒目な木目と結構変わった香りが特徴的です.

木目がきれいなので,ナチュラル仕上げにするか,でも,4ピースだからある程度塗りつぶすか,適度に塗ってクリア仕上げで,バター・スコッチ・ブロンドを目指すか,思案のしどころです.

エレキギター完成

塗装などで結構手間取りましたが,ようやく完成しました.
終盤,リアピックアップ不良というアクシデントに見舞われましたが,製造元のHOSCOさんに相談させていただいたところ,交換品をすかさず送っていただき,無事完成にいたりました.とても親切かつ迅速にご対応いただいたことをここに感謝いたします.どうもありがとうございました.
ということで,早速弦を張り各部の調整,チューニングを行い,とても精度が良いキットであることを再確認しました.
音に詳しいわけではないのですが,個人的にはとっても良い音に感じました.自宅には,市販品のギターが何本かあるのですが,レスポール型は無いので,音の違いを楽しんでいます.
シングルとハムバッカーの違いも面白いです.

ウレタン塗装は難しい?

ウレタンは一回で厚塗りが出来るし,塗膜も丈夫なので簡単,という言葉のとおり,ギターの塗装は途中まで順調でした.ただ,後半にマスキングテープを剥がしたら,塗膜が一緒に釣られてビニールの様にはがれてしまってびっくり!
ウレタンの重ね塗りは適さない,一回目の塗装の上をサンディングして「足付」してからじゃないと二回目の塗膜ははがれやすい,いやいや,一回目の塗装から5分待って半乾きの段階で二回目を塗らないとダメ,などネット上に氾濫する情報に翻弄されつつ,自分としては,一回目の塗装の数日後,#400でサンディングしてから二回目を塗ったのですが.
他にも,サンディングの粉が残っていて白い点が残ったり,いろいろ不具合がありますが,ほどほどに修正して,次のステップへ進みたいと思っているところです.
なんだかんだ言っても,いろいろ起こるから楽しいのですが.

導電性塗料

エレキギターのピックアップは繊細である.中波ラジオのバーアンテナよろしく,細い線を数千回,鉄の棒の周りに巻き,片側に磁石をくっつけ反対側で鉄の弦の振動を検出するというのが基本構造である.そのため,電灯線(最近は死語か?)の50Hzなど,身近なノイズを拾いやすい.それを避けるべく,弦を支えるブリッジをアースしたりするのであるが,その一環として,導電性塗料が活躍している.無線機ではアルミ,もしくは鉄で筐体を作ることでシールドしている.また,最近のノート型パソコンの筐体は軽量化のために樹脂で作られていることが多いが,ノイズを放出しない用に,内側に導電性塗料が塗られている.エレキギターは基本的には木でできているので,前述のバーアンテナの様なピックアップは,そのままではノイズの影響を受け放題である.それを避けるべく,ピックアップをとりつける部分の木部内壁に導電性塗料を塗ることが推奨されている.シールドを確実にするためには,導電性塗料を塗った内壁をアースに落とす必要がある,そのため,内壁にはアース線をネジ止めをする.この様にまるで無線機のRFフロントエンドの様な加工を施されたピックアップ部で検出された微弱な電気信号はそのまま「シールド」と呼ばれる電線を通じてMarshallの真空管アンプに投入される.こんなに繊細な技術がロックミュージックを支えていることに驚き!

エレキギターのキット

次から次へといろんなことに手を出して...と思われそうですが,エレキギターのピックアップがコイルと磁石で出来ていることから,電気屋としての血が騒いでしまいました.ピックアップについては後程詳細に触れようと思います.とりあえず,HOSCOという会社からキットが出ていたので,暮れに発注して,今,作っています.